東北で大地震が発生した。様々な支援が行われ、バスをチャーターして援助活動に参加する”ボランティアバス”も盛んに行き来していく。就職活動のアピールポイント作りのため、ボランティアバスを主催することにした大学生の和磨。震災で父が行方不明になった姉弟に出会った女子高校生の紗月。あることから逃亡するため、無理やりバスに乗り込んだ陣内。さまざまな人がそれぞれの思惑を持ってバスに乗り合わせる。彼らは目的を果たすことができるのか。被災地で出会った事件が、バスに奇跡を起こす。
カバー説明より
ミステリーで「奇跡」と行っても、
地震が無かったことになるとか
そういうファンタジーな展開は起こりません。
就職活動で有利になるかもという動機で
ボランティアバスを主催する大学生大石和磨君、
ある意味彼のせいで読者がころりと騙されます。
(大石君は別に騙そうとして行動しているわけではないです)
「金髪に近い茶髪で態度も軽そうに見える」、と
バスに参加したあらゆる人から思われる
大石君かわいそう(;´∀`)
ボランティアバスってのやってみよっかな~と
軽く考えている時に、
大学の友人たちに「すげえじゃん!」
「詳しいことが決まったら教えてよ!」と、
もてはやされてちょっと気分良くなっちゃって
そのままボランティアバスの
申し込みやら何やらを決定して、
大学の友人たちを誘ってみたら
「忙しいから」「金ないから」と、
誰一人として参加してくれなかったという
エピソードはめちゃリアル(;・∀・)
被災地のリーダー鯉崎さんの
「節度を守れば単位のためだろうが自分探しだろうが、
どんな動機だって構わないさ。
私たちは助けてもらって、
君たちは満足した気持ちを得る。
本来は、それでいいんだよ」
という言葉も深い。
話の合間に書かれている
「災害ボラバス体験記」も、
ただの物語じゃない
リアルなボランティア活動の
光と影について書かれています。
この物語の根底にあるのは
「恩送り:誰かから受けた恩を、
直接その人に返すのではなく、
別の人に送ること」
ノンフィクションの
ボランティアバス物語じゃなくて、
ミステリーなので、
読んでいる人の思い込みと
最終章でのどんでん返しが待っているのですが、
例えば「十角館の殺人」での
どんでん返しの一言を見た時は、
頭をガーンと殴られたような感じの
どんでん返しでしたが、
この物語でのどんでん返しの一言を見た時は、
それまで思い込んでたものが
キラキラとさらに光りながら
変わっていくような感じがしました。
心がほっこり暖かくなるどんでん返しなんて
初めてでした(*゚▽゚*)
中学生以上なら
読書感想文用の本としても
色々書けていいかもしれませんよ(ΦωΦ)フフフ…
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